うつ病講座

ニート君とマップ博士のうつ病講座-第9回「コーピングPart3-教科書には載っていないストレスマネジメントの現実」

2017/05/30

~ 勝手にスペシャルサンクストゥ網野衛二先生 3分間 NetWorking ~

 

【登場人物】

マップ博士(はかせ)

メンタルヘルス分野にやたら詳しいオタク。

博士は自称。

精神疾患全分野の地図を作成するという野望を抱く。

毒舌家。

 

ニート君(ニート)

高校時代に色々あり、ひきこもる。

アニメ・ゲーム、オタク。

社会復帰をするため、博士の講座を受ける。

いじめられっ子。

 

 

今回は主に、はかせが体験した「裏話」です

はかせ
さて、前回および前々回で、一応「コーピング」

すなわちストレスに対応する術について学んだわけだ。

ニート
はい。

歯が痛い時は音楽を聴く「情動焦点型コーピング」ではなく、歯医者に行くという「問題焦点型コーピング」ですね。

はかせ
うむ。

ストレスの原因を断てるなら「問題焦点型コーピング」で断つほうがよい、ということだな。

ニート
これでストレスがきても恐いものなし、ですね。

 

はかせ
残念ながら、そううまくはいかん。
ニート
ええー!なんでですかー??
はかせ
今日はそのあたりを説明していく。

私の体験を含めた教科書には載ってない話といったところだな。

理不尽な話もあるから、そのつもりで聞くように。

ニート
はーい。

 

コーピングは、一人では限界があります

はかせ
まず、今まで学んだコーピングを練習していけば、「ある程度」はストレスをうまく回避・軽減できるようになる。
ニート
「ある程度」ってことは、「完全に回避・軽減することはムリ」ってことですか?

 

はかせ
そういうことだ。

例えば、クラス全員からいじめを受けている、なんて場合だ。

いじめられている本人のストレス対応力が高くとも、さすがに限界ってものがあるからな。

ある程度(=限界)以上のストレスに対応するには、どうしても他人を頼る必要が出てくる。

ニート
なんだか痛い過去(※)を思い出します。

今考えてみると、当時の担任の先生って、コーピングが下手だったんじゃ...

(※ニート君はいじめが原因で高校を中退しました。詳しくは「第1回講座」をご参照ください)

 

 

現状は、コーピングを理解している人すらほぼいない。まして実践できる人など

はかせ
まぁそういってやるな。

実際に社会に出て働くと分かるんだが、そもそも世の中にはコーピングが上手い人が非常に少ない。

ニート
え?!そうなんですか??

 

はかせ
というより、コーピングというものをきちんと理解している人がまずいない。
ニート
え?え??

でも会社の偉い人とか、コーピングが分かってないと部下の管理できないじゃないですか。

ストレスマネジメントの研修とかあるだろうし。

「コーピング」って言葉は知らなかったとしても、実際はきちんとできているんでしょ?

はかせ
...
ニート
マジっすか。

 

ニート君でもできる。コーピングの基本

はかせ
例えばな、若手社員にとってどうしようもなくストレスフルな職場があったとする。

諸事情により職場のストレッサーを排除することはできない。

ニート君が上司であればどうする?

ニート
えーと、まずは「問題焦点型コーピング」ですね。

若手社員にとってのストレッサーそのものを排除できないのであれば、若手社員の職場を変更する、かな。

 

はかせ
そうだな。

その後詳しくは省くが「情動焦点型コーピング」によりフォローアップしていく。

これが部下へのコーピングの基本となる。

ニート
はい。

というかそれ以外のコーピングが行われているんですか?

 

「それ以外のコーピング」ばかりです

はかせ
ああ。

初手のほとんどは「上司が部下を説得する」という「情動焦点型コーピング」だ。

「おまえの気持ちはよく分かるよ。でももう少しがまんしてがんばってみよう!」ってやつだな。

非常に親身に話を聞いてくれる場合もあるが、その後「問題焦点型コーピング」へ発展することはまずない。

ニート
えー!なんで?

 

「問題焦点型コーピング」は手間とお金がかかります

はかせ
簡単に言うとな、

「問題焦点型コーピング」ってのは手間と金がかかるのだ。

社員1人の部署を変えるだけでも、

  • その社員に合った別の部署を探す
  • 探した部署および関係者との交渉
  • 元いた部署への、補充要員の確保
  • それに伴う人件費・諸経費もろもり...etc

そのほかにも、挙げればきりがない。

ニート
めんどくさいですねー。

 

はかせ
まさに。

誰でも「こんなめんどくせーことはやりたくねー」ってことだな。

対する「情動焦点型コーピング」ってのはお手軽だ。

一応、「上司として相談にのった」という実績も残る。

こうして職場のストレスは無駄に引き伸ばされていく。

ニート
でもそれって、引き伸ばされているだけじゃなくて、ストレスは蓄積されているんじゃ...

 

はかせ
そういうことだ。

この蓄積されたストレスが一定量を超えると、ゆるやかな「ショック相」「抗ショック相」、そして「抵抗期」へと入っていく。

ニート
なんで?

なんでそんなことが起こるんですか??

 

ストレスマネジメントは、なめられてます

はかせ
まぁ、ストレスマネジメントをなめてるんだな。

「ストレスなど、チームワークと励ましでどうにでもなるだろ」

ってな。

ニート
「どうにでもなる」、わけじゃないんですよね?
はかせ
ならんな。

コーピングを含むストレスマネジメントとは、理論に則って(のっとって)はじめて効果を発揮する。

例えば、まずは「問題焦点型コーピング」のち「情動焦点型コーピング」、のようにな。

だが、ストレスマネジメントをなめてる連中に限ってこの理論をおろそかにして、とかく 「情動焦点型コーピング」に走りがちだ。

結果、のちのち大惨事を招くこととなる。

 

なめてると、「10倍返し」がやってきます

ニート
大惨事って。

そんなすごいんですか?

はかせ
少なくとも「問題焦点型コーピング」で出し渋った数倍~数十倍の手間と金が、ムダに消えることになる。

「なんちゃってコーピング」でうつ病になった社員が休んでる間、その社員は働けない。

だが、仕事のストレスが原因であれば、休んでいても給与は支払われる。

ひと月に30万円の仕事をする社員であれば、その30万円が全て会社の損失となる。

(若手プログラマー:20~40万円/月、ベテランシステムエンジニア:60~100万円/月、くらいが相場)

ニート
治療が長引いて、2ヶ月間の休職なら60万円の損失、2ヶ月間の休職なら90万円の損失、ですか。

確かにそのお金の半分で、事前に充分な「問題焦点型コーピング」ができますよね。

 

はかせ
しかもずさんなストレス対応をしていれば、うつ病の社員は1人や2人ではなかろう。
ニート
あっちゃー。

さらに損失は2倍、3倍...ですか。

 

はかせ
そしてその間は、休みの社員たちの仕事を、他の社員たちが負担しなければならない。

普段の自分の仕事に上乗せされる形でな。

その負担によるストレスで、さらに第2・第3のうつ病社員が出てくる。

それらの社員が働けなくなることにより、「損失」と「残った社員たちの負担」がさらに増える。

ニート
うっわー。

まさに「雪だるま式」ですね。

でもこんなことが現実に起こるのは、いわゆる「ブラック企業」ってところだけなんですよね?

 

日本では、コーピングが正しく機能する企業は存在しません

はかせ
いや、そんなことはない。

実際、私が働いていた会社は、典型的な「ホワイト企業」だったぞ。

給与は少し安かったが、有名企業のグループ会社で、就職活動誌でもなかなか人気のあるIT系の会社だ。

だが、先の「雪だるま式」など、珍しくもない光景だったぞ。

ニート
でもIT系ってどこも厳しいって聞きますし。
はかせ
うむ。

だが、出版やマスコミ、あとは物販や食品なんかに比べればぬるいもんだ。

その手の業界の知り合いにIT系の惨状を話したら、鼻で笑われたぞ。

 

税金を払っている人は、税金をもらっている人のアラ探しが大好き♡

ニート
じゃあ、公務員とか!
はかせ
うむ、実に短絡的でいいぞ。

それでこそニート君だ。

キミの頭の中にある

「地味だけど安定している公務員の職場」

など、昭和初期の代物だ。

ニート
え?じゃあ今は...
はかせ
総理大臣から役所の窓口担当にいたるまで、今もっとも叩かれる職業。

それこそが公務員だ。

公立の学校・保育園の先生なども、うつ病の発症率が非常に高い。

そもそも大小かかわらず、不祥事やミスが発覚した時点で致命傷を受けるのが、公務員の職場だ。

そのダメージは一般企業の比ではないぞ。

 

就職するなら「公安九課」。スタンドプレイヤーを目指そう!

ニート
...結局日本全国、どこにいっても地獄じゃないですか。

じゃあ、はかせ。

逆に、はかせが知っているもっとも理想的な組織ってどこですか?

はかせ
ん~、難しい質問だな。

お!「公安九課」なんてどうだ?

荒巻課長のセリフを聞いて私は涙したぞ。

(※「公安九課」:「攻殻機動隊」に登場する架空の組織。新巻課長が率いる少数精鋭のスペシャリストで構成されている。情報戦・電脳戦・物理戦闘いずれにおいても超強い)

ニート
新巻課長って、また渋いところを...
はかせ
「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。 あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」

(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』-「第5話 マネキドリは謡う DECOY」荒巻大輔のセリフより引用)

結局コーピングスキルを含めたどんな能力も、他人に依存しない形が一番強い。

結果的によい相互作用を生み出せればさらに良い、というわけだな。

 

ニート
今日は最後の最後でアニメネタでしたね。
はかせ
全体的に重いテーマだったからな、最後くらい楽しんでもよかろう。

ではニート君、今日のまとめだ。

ニート
はい。

 

 

 

まとめ

ニート君の「今日のまとめ」

  • はかせの知る限り、日本の企業ではコーピングはほとんど機能していないのが現状
  • 自分の身を守るには自分の能力を上げるのが一番
  • 全国の管理職は、公安九課の荒巻課長を見習え

 

参考資料

『Road to Node』 - 「3分間NetWorking」

 

『文部科学省』 - 「第2章 心のケア 各論」

 

『メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト II種 ラインケアコース』

 

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』

 

 

 

~ 勝手にスペシャルサンクストゥ網野衛二先生 3分間 NetWorking ~

Alexas_Fotos / Pixabay

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