うつ病全般

うつ病は【味方・いいヤツ】ですー私たちを守ってくれる「アラートと防衛反応」

私はうつ病が嫌いです。

 

19年間つきあっていますが、一度も好きだと思ったことがありません。

おそらく全てのうつ病の皆さまも同じだと思います。

でもこのうつ病、実は我々を守ってくれる とってもいいやつなんです。

 

うつ病の正体、それは「防衛反応」です。

 

「もう無理、マジやばい」

 

って時に私たちを守ってくれてます。

 

 

アラート

防衛反応にはいくつかありますが、その一つに「アラート」があります。

 

「アラート」っていう言葉、よく聞きます。

日本語にすると「警告(警告信号)」って感じでしょうか。

 

「危ないよー!気をつけろー!!」

 

ってやつですね。

コンピュータに、このアラート機能をつけておくと、何かあった時にアラートが発動して、事前に故障やトラブルが防げる、なんてこともよく耳にします。

 

 

体のアラート

このアラート機能、人間にも生まれつき備わっています。

 

代表的なものが「痛み」です。

 

”包丁で指を切っちゃった!”

 

気づかずに放っておくと、どんどん血が出ちゃってヤバイです。

こんな時、体のアラート「痛み」が発動。

 

「いったーーーーーーーーーい!包帯包帯!!」

 

こうして失血する前に止血をすることで、体は守られます。

 

 

あとは「熱」もアラート機能ですね。

 

”インフルエンザウィルスが体内に侵入、各部を侵食中。 大変だ!”

 

体のアラート「熱」が発動。

 

「なんか体が熱い、頭も痛い。体温測ってみよう、っって38.8℃!!」

 

急いで病院にいくと、お医者さんが

「あー、インフルエンザ陽性だねぇ。はい、タミフル飲んでね」

こうしてインフルエンザウィルスの脅威から体が守られます。

 

(※厳密にいうと熱は、体がウィルスと戦っている(防衛反応)の副産物ですが、実際に私たちは、熱を「アラート」として認識し、防衛・治療を行います)

 

 

疲労もアラート

そしてもう一つの代表的なアラート、それは「疲労」です。

 

マラソンを走り続けていれば、疲労で体が動かなくなる。

当然のことです。

疲労を感じず、ずーっと走ってたら死んじゃいます。

 

疲労とは言うなれば、ごくごく小さな「痛み」の蓄積(ちくせき)です。

ただとても小さいので「ある程度がまんできるアラート」であるともいえます。

 

「テレビゲームをやり過ぎるとヘトヘトになるのは分かっている、でもやめられない」

 

というのも疲労というアラートの特性(ある程度がまんできる)のためです。

 

ただ、がまんはできても痛みは痛みです。

蓄積すれば大きな痛みとなるので、いずれはその痛みを回避しようとします。

(走るのをやめたり、ゲームの途中で寝落ちしたり...etc)

 

結果として体は「疲労」から守られます。

 

 

アラートがあがったら

このように自分たちの体を守るためにアラートは不可欠です。

でもアラートだけで体を守ることはできません。

 

"アラートが出たけど放置..."

 

もちろん体は壊れます。

 

アラートを確認した後、しかるべき対処(止血・投薬・休息等) をして、はじめて体は守られます。

 

 

脳は特別

「脳」も体の一部ですが、こいつは少し厄介です。

 

今まで説明した通り、体のアラートは「痛み」を伴うことがほとんどです。

そのため早く気づき・早く対処することができます。

 

一方の「脳」ですが、

 

こいつには痛覚がないんです。

 

つまり脳は「痛み」でアラートを出すことができません。

そして、「痛み」でアラートを出せなければ、小さな痛みの蓄積である「疲労」によるアラートも機能しません。

 

ではどこでアラートがあがるか?

 

 

「緊張・不安な気分」は脳からのアラート

脳が出すアラート、それは「緊張・不安な気分」です。

 

"会社の上司からどなられた!"

"先生にものすごく怒られた!"

 

まずびっくりして、緊張したり不安な気分になると思います。

これは脳が危機に瀕した(ひんした)時に出すアラートなんです。

 

しかも危険にさらされているのは、一番大事な「脳」です。

アラートも通常のものではなく

 

"緊急アラート!ランプの色は赤(赤信号)"

 

という感じになります。

 

すぐに、緊張や不安を回避するための行動を取り、ストレス(正確にはストレッサーという)から、大切な脳を守ります。

 

「上司や先生に謝る」というのが一般的でしょう。

たまに「逃げる」なんて人もいますが(笑)

 

どちらにしても、脳を守る行動には違いありません。

 

 

緊急アラートの落とし穴

人間の体に限らず「緊急アラート」は、対応・回避が遅れると致命的なダメージを受ける可能性があります。

 

 

そのため、「不安」「緊張」といった緊急アラートが出た場合も、対応が遅れないために、脳は自動で防衛体制を整えてくれます。

アドレナリンを大量に分泌し、交感神経が過剰に働き、脳を含めた体全体が、いわば「臨戦態勢」になります。

 

怒られたあと、「頭がかっとなる状態」です。

 

経験のある方も多いと思いますが、このように「頭がかっとなる」と、一時的に恐怖心や不安感が薄れます。

そのため時々「脳に受けたダメージが回復したような錯覚」におちいることがあります。

 

しかしもちろんダメージは回復していません。

「緊張」「不安」はあくまでアラートです。

アラートを確認した後、しかるべき対処(ストレスを回避) をしてはじめて体は守られます。

 

では、回復したような錯覚におちいったまま、アラートを放っておくとどうなるか?

 

脳は深刻なダメージを受けます。

これがうつ病です。

 

脳の臨戦態勢は、通常2週間くらい持続されます。

しかし対処をせずにその2週間を過ぎると、臨戦態勢を維持する エネルギーが切れ、ストレスに対する抵抗力が極端にさがります。

 

「疲弊期(ひへいき)」もしくは「疲憊期(ひはいき)」と呼ばれるうつ病の段階です。

 

(なお、怒られた直後は「警告反応期(ショック相・反ショック相(or抗ショック相)」、臨戦態勢の期間は「抵抗期」と呼ばれています)

 

以下は厚生労働省の資料からの抜粋です。

疲弊期

適応エネルギーが消耗、獲得した抵抗力が適応のバランスが崩れ、ストレスに生体が対抗し 切れなくなり、段階的にストレッサーに対する生体の抵抗力が衰えていく。 疲弊期の初期には、「ショック相」に見られるような生体機能の低下や不適応が見られ、内分泌腺である副腎や胸腺 が萎縮し、心拍、血圧、血糖値、体温も低下していく。更に、疲弊状態が長期にわたって継続 し、ストレッサーの有害な刺激が弱まることがなければ、最後には死を迎える。

(厚生労働省 『実践的指導実施者研修教材』-「[1]食生活改善指導担当者研修」-「(2)生活指導及びメンタルヘルスケア」P49~50より引用)

 

緊急アラートを放置することでおちいる、非常な大きな落とし穴です。

 

 

「憂うつな気分」も脳のアラート

脳があげるもう一つのアラートが、「憂うつな気分」です。

 

脳の「疲労」が蓄積された時に現われるアラートです。

 

憂うつな気分になれば、人間何もしたくなくなります。

結果として思考や行動にブレーキがかかり、脳を働かせず休ませることができます。

 

緊急回避を要するほどではないので、

 

”アラートランプの色は黄色(黄色信号)”

 

という感じです。

 

体の疲労と同様に、憂うつな気分はある程度がまんすることができます。

 

 

憂うつアラートの落とし穴

このアラートの厄介な部分は、「あいまいさ」です。

 

先の緊急アラートとは違い、即座に回避しなくてもある程度は大丈夫です。

逆に言うと「回避をする明確な境界線がない」ということです。

 

憂うつな気分の正体は、脳内の神経伝達物質の減少です。

ストレスによりこの物質が減るのですが、実はこの現象自体がまだ仮説段階 (モノアミン仮説といいます) で、本当のところはまだよく分かっていません。

 

こんな感じのあいまいなアラートがあがると、人間ついつい

 

「気のせいじゃないか?」

「もうちょっとがんばれるんじゃないか?」

 

そんな考えが頭をよぎります。

 

加えて周囲からの

 

「気にし過ぎだよ、気合でがんばろ!」

「出た!さぼりの言い訳」

 

こんな励ましとも脅しともとれるような言葉に後押しされると、ストレスを回避するどころか

 

”自分を痛めつけることで、がんばっている自分を周囲にアピール”

”無理してがんばっている自分に酔いしれる”

 

なんてことになりがちです。

 

体温計のように、ストレスを図れる「ストレス計」のようなものがあれば、

 

「憂うつストレス38.3、今日は家でお休み」

 

正々堂々と回復に努められます。

 

でも憂うつの度合いというものは主観でしか分からず、周囲への周知も自己申告です。

さぼりとの境界線があいまいなんです。

 

でも、憂うつアラートをないがしろにし続けると

 

「ある日突然、うつの深みにどっぷりはまっている自分に気づく」

 

必ずそんな日がやってきます。

 

憂うつアラートの落とし穴です。

 

 

うつはともだちこわくない

このように、脳のアラートがあがったら、無理をせず脳を休めてあげることが大切です。

苦痛はなくとも休むということは、ある程度練習が必要です。

 

特に今うつ病を患っている人たちは、これがヘタです。

私もヘタです。

ヘタだからうつ病になったんです。

 

だから積極的に「緊張」「不安」「憂うつ」を感じて、積極的に休めること、が回復につながります。

コツはこれらの負の感覚を、敵視するのではなく、味方だと考えることです。

 

うつ病が悪化したことがある方は経験があると思いますが、うつというものは苦痛にほかなりません。

 

朝、目が覚めると今日も苦痛、本当にうんざりします。

「なんとかしてこの苦痛を切り取って楽になりたい」

何度も何度もそう思います。

 

薬を飲んだり、瞑想やヨガをしてみたり、運動をしてみたり。

でもこの苦痛を切り離すことはできません。

 

起き上がることも困難になったある日、

 

「このうつを積極的に感じてみたらどうなるのか?」

 

ふとそんな思いが頭に浮かびました。

やってみました。

 

精神的なものか肉体的なものかはよく分かりません。

 

辛い、痛い、辛い、痛い、辛い、痛い。。。

 

ただそれがずーっと続くだけでした。

でも怪我や身体的病気とは違い、

 

「この痛みは、自分を傷つけるものでもなければ、自分が死んでしまうようなものでもない」

 

はじめてこのことに気づきました。

気づくというより、体感したといったほうがよいかもしれません。

 

このような自らうつの苦痛を感じるという、マゾ的な行為を繰り返すうちに、

 

「うつ病って実は自分を害するものではなく、自分を守る防衛機能(アラート)なんだなー」

 

ということが、なんとなく分かってきました。

 

 

まとめ

今でも私はうつ病が大嫌いです。

 

でも同時に、

 

「うつ病は無理から自分を守ってくれる味方」

 

たまにそう思えるようになってきました。

 

「緊張、不安、憂うつなど、不快な感覚がおそってきても、それらは自分を守ってくれる味方たち」

 

当たり前のようにそう思える日がきたら、その日がうつ病が治る日なのかもしれません。

Alexas_Fotos / Pixabay

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