就労継続支援

就労継続支援とは、利用料が必要な「サービス」です。意外と知らない基礎知識

2017/02/07

「就労継続支援とは何か?」

 

ほとんどの人が持っているのは

 

「障害を持っていても働けるところ」

 

という程度の知識だと思います。

 

少し詳しい人だと、

 

「A型とB型があって、A型は最低賃金が保証されていて、B型はわずかなお金しかもらえない」

 

なんて答えが返ってくることもあります。

 

確かにこれらの知識は間違ってはいません。

ただ同時に非常に断片的で偏った知識です。

その証拠に

 

「そもそも就労継続支援って何?」

 

この基本的な質問に、正確に答えられる人はほとんどいません。

 

このように分かっているようで分かっていない就労継続支援について、本・インターネット・役所へ問い合わせ・実際に見学等をして、できるだけ正確で体系的な情報を集めてみました。

 

就労継続支援とは「障害者福祉サービス」の一つ

就労継続支援とは「障害者福祉サービス」という、障害者が受けることのできるサービスのうちの一つです。

障害者福祉サービスには、ほかにも「居宅介護(ホームヘルプ)」や「重度訪問介護」といったサービスがあります。

 

これらのサービスは本来、市区町村で運営・提供される類のものです。

しかしサービスの種類の多さ、規模、専門性を考慮すると、現実的には市区町村での運営は不可能です。

そのため、市区町村は外部の法人に、サービスの運営・提供をお願いする形をとっています。

 

具体的には、外部の法人からの申請を受け、審査を行い、問題がなければサービスの運営の許可を出します。

同時に、補助金・助成金を支給することで、サービスの促進を図る。

おおよそですが、「障害者福祉サービス」とは、このような仕組みで成り立っています。

 

就労継続支援で働く(利用する)には「利用料」がかかる

さて、前置きが長くなりましたが、就労継続支援も外部の法人が運営しているサービスです。

「居宅介護(ホームヘルプ)」や「重度訪問介護」のサービスを利用する際には、利用料金が必要です。

外部の法人もボランティアではないので、サービスを提供すれば、見返りとして利用料をもらう。

ごく当たり前のことです。

 

そして、就労継続支援のサービスを受ける際も、「居宅介護(ホームヘルプ)」や「重度訪問介護」と同様に利用料を払う必要があります。

 

私の周りにも就労継続支援を気軽に勧める人が非常にたくさんいますが、「利用料がかかる」ということを知らない人が本当に多いです。

ましてやいくらかかるか?
知っている人はほとんどいないと思います。

以下が、就労継続支援のサービスを受ける際の利用料です。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民課税世帯(注1) 0円
一般1 市区町村民課税世帯(所得割16万未満)
(注2)
※入所施設利用者(20歳以上)グループホーム・ケアホーム利用者を除きます。
(注3)
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯の世帯が対象になります。
(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市区町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。

(『厚生労働省』 - 「生涯福祉サービス等」-「障害者の利用者負担」より引用)

 

結婚していて、旦那さんや奥さんが会社員の場合、たいてい「一般1」(利用料9,300円)になるようです。

正確な世帯収入区分は、役所に行くと調べてもらえます。

 

お金を払って働く、という本末転倒なことも起こりえる

就労継続支援のサービスを利用して収入を得ようとする人の多くは低所得世帯のため、実質的に利用料はかかりません。

ただ、実際に見学に行った就労継続支援B型の事業所では、もらえるお金(工賃といいます)が利用料を上回ったケース、
つまり

お金を払って労働をする(手取りの収入0円)

ということも実際にあったそうです。

このようなことを避けるためにも

  • 就労継続支援とは「障害者福祉サービス」の一つである
  • 就労継続支援というサービスを受けるには利用料がかかる(かからない場合もある)
  • 条件(主に世帯収入と工賃の金額)によっては、お金を払って働くということがあり得る

これらの最も基本で重要な情報は、きちんと頭に入れた上で、就労継続支援の検討を進めるべきだと思います。

 

サービスを受けるための手続きは煩雑。役所と職場2箇所での手続きが必要

就労継続支援のサービスを受けるためには、手続きが必要となります。

この手続きの詳細もあまり知られていませんが、かなり煩雑です。

A型とB型(説明後述)で若干変わります。

また事業所によっても若干順番や必要書類が変わりますが、基本的に下記の流れで手続きを進めます。

 

【就労継続支援サービスの手続き】

  1. 希望する就労継続支援の事業所を見学(ない場合もある)
  2. (A型のみ)ハローワークで、上記1.の事業所の求人を見つけ申し込み、のち紹介状をもらう
  3. 上記2.でもらった紹介状と履歴書を持って、事業所へ行き面接を受ける(B型の場合、紹介状は不要)
  4. 市区町村の障害福祉課へ、就労継続支援のサービスを利用するための申請書を提出
  5. 上記4.で提出したサービスを利用するための、利用申請を認定するかどうかを判断するための面接を受ける(利用申請認定調査という)
  6. 就労継続支援サービスを受けるために「サービス等利用計画書」という計画書を障害福祉課へ提出する必要があるため、計画書の作成を行う。障害者が作成するには複雑な計画書のため、指定特定相談支援事業者という人に手伝ってもらうことができる
  7. 上記6.提出、障害福祉課の審査結果を待つ
  8. 審査の結果に問題がなければ、「障害福祉サービス受給者証」が発行される
  9. 希望していた事業所と「サービス利用契約」を締結、正式に採用される
  10. 就労開始

 

簡単に言うと、

  • 市区町村に行き、「サービス」を受けるための書類提出、面接を行う
  • 事業所(実際に働く職場)に行き、「労働(雇用)」のための書類提出、面接を行う

この2つの手続きを同時並行で行うといった感じです。

先に書いた、就労継続支援とは「障害者福祉サービス」の一つということを知っていれば、煩雑な手続きもある程度納得できますが、知らないと手続きだけで嫌になってしまう、などということも考えられます。

後になってから「聞いてないよ」というようなトラブルにならないためにも、あらかじめ知っておいた方がよい情報です。

 

A型とB型の違い。B型でも高い工賃の場合がある

就労継続支援にはA型とB型の2種類があります。

以下が主な違いです。

 

【A型】

事業所との間に雇用契約を結ぶ

最低賃金が保障される(※2016年時点での東京都最低賃金は時給907円)

 

【B型】

事業所との間に雇用契約は結ばない

最低賃金が保証されない

 

以上の理由から、

「A型はある程度稼げるが、勤怠が厳しい。B型はほとんど稼げないが、全体的にゆるい」

と言われています。

特にB型の場合は、工賃を時給換算すると数十円といった事業所も多く、

先に述べた

 

お金を払って労働をする(手取りの収入0円)

 

ことが起こりやすいです。

 

ただ、全てのB型事業所が同じではありません。

実際に私が見学に行ったB型事業所では、工賃の平均は時給換算で500円でした。

B型事業所の工賃の仕組みについては、下記の見学記で詳しく説明しています。

よろしければご参照ください。

 

利用資格

事業所によって多少異なることはありますが、基本的な利用資格は、

  • 精神科に通院していること
  • 服薬管理ができていること

の二つです。

A型の場合は、年齢制限(18歳以上)が加わることが多いようです。

 

役所の福祉課へ連絡し、見学に同行してもらう

A型・B型、また各事業所によって、雰囲気や方針、工賃までが大きく変わってきます。

全ては説明しきれませんので、気になったら一度見学に行って見るのがいいと思います。

市区町村の障害福祉課に連絡して見学したい旨を伝えると、代理でアポイントをとってくれて、担当の方が同行してくれます。

 

まとめ

冒頭にも書きましたが、就労継続支援の情報は非常に断片的で偏りがあるものしか知られていません。

そのため

分からないことは、分かる人を探して直接質問する

これが最も安全かつ確実な方法です。

特に工賃はいくらもらえるのか?などという質問はしにくいものですが、聞かずに働き始めてしまうと、本当に後で後悔することになります。

面倒くさがらず、はずかしがらず、分からないことは全てクリアにしてから働くことが、長く快適に働けるコツです。

 

Alexas_Fotos / Pixabay

facebook

google+

-就労継続支援